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フランク・ミュラー最初期のオリジナルカーベックスシェイプ 2850 S6“ブルーエナメル”です。このモデルは1992年のブランド設立時のごく初期に製作されたモデルです。
86年にミュラー氏が初めて考案したオリジナルカーベックスで、現行のトノウケースよりも細長いフォルムです。そして発売の翌年となる93年に2850トノウケースは裏蓋の形状のみをマイナーチェンジして防水性を高めた"2851"へと移行します。さらに同年末には新たなトノウ・カーベックスの"2852"ケースにデザインを一新した後は、すべてのモデルをそちらに移行しています。それ以降このオリジナルシェイプは “2851”として限定製作されましたが、裏蓋の形状が特殊な“2850”ケースは未だ一度もつくられていません。 この創生期に約2年間のみ作られた"2850"と"2851"との違いは、ケースのバランスやシェイプは同じですが、リュウズ(FMマークの有無)と裏蓋の仕様が異なります。2850の場合は液状パッキンによる防水処理で、2851ではより防水性を高めるべくゴムパッキンを採用し、それによって裏蓋の形状も異なります。2850は中心部を丸く平面にし、四隅に向かって立体的に湾曲させているのに対して、2851ケースは裏蓋そのものを厚くし、縦方向のみに湾曲させることで防水性能を高めています。“2850”と“2851”はどちらもベルトの付け根となるエンドピースの裏側からビスで固定する方式が取られており、現行のケーシングとは異なります。
そしてこちらの“2850”ケースは最も初期の完全なるオリジナルカーベックスです。さらに極めつけはこの個体に備わったブルーエナメルのダイアルは他のブルーダイアルとは異なる特徴をもった大変稀少なモデルです。92年の最初期につくられたブルーエナメルの中でも、わずか数個体のみが光の環境下よって文字盤の色が変化するのです。この色の変化は自然光や蛍光灯の光下では鮮やかで美しい「BLUE」に、そして電球や蝋燭の灯りの下では「VIOLET」に変化し、妖艶でエキゾチックな雰囲気を醸し出すという、ふたつの異なる表情を持った個体であり、極めてレアピースなのです。(文字盤の製作時のいきさつや詳細についてはもはや不明で、おそらくは当初のプロトタイプ的につくられた文字盤であると推察されます)
~エナメル文字盤について~
スイスの伝統工芸のひとつであるエナメル細工は、古くからネックレスやブローチといったあらゆる高級装飾品に施されていた技法でしたが、時計の場合ポケットウォッチのケースやケースバックへの装飾が一般的でしたが、フランク・ミュラーは大胆にも文字盤にその技法を用いています。金属の文字盤板にサンレイバースト(日輪模様)の波形模様が彫り込まれ、その上にガラス質の釉薬(ゆうやく)を塗って焼き付けますが、焼き付けた上からまた釉薬を塗って焼き、さらにまた塗り重ねる工程をなんと11回も繰り返して作られています。光を当ててみると半透明のガラス質の下に浮び上がる放射する波模様(ギヨシェ彫り)の陰影が浮かび上がります。そのガラス質の表面に描かれた金色のビザン数字の上で、鋭く磨かれた金のスペード針がゆっくりと廻る様は、まさに中世ヨーロッパの息吹をそのまま凝縮したかのような、怪しくも儚げなまでの美しさです。
この最初期の“2850”ケースに加えて、奇跡的ともいうべき変幻する文字盤が醸し出すその表情は、繊細且つ優雅で、見るものを陶酔させます。まさに天才時計師 フランク ミュラーが創り出した“工業芸術作品”という表現が最もしっくりとくるのです。
この個体はブランド創設年の1992年にオーダーされ、その翌年に完成しました。その証しとしてシリアルNo.「JA01」を有します。当時はシリアルNo.の前に輸出先の国名を示すアルファベットが刻印されておりました。この時計は日本向けホワイトゴールドモデルの1本目のオーダー品という希少な個体でもあります。
参考定価 | ¥0Tax in |
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製造年 | 1993年 |
素材 | 18Kホワイトゴールド |
ムーブメント | 自動巻き |
ダイアルカラー | ブルー |
ベルト | クロコダイルストラップ(色はお選びできます) |
防水 | 日常生活防水 |
サイズ | 縦:45mm×横:30mm ベルト幅:16mm |
付属品・備考 | PAW保証書、取扱説明書、BOX ※ご覧の商品は東京店、大阪店、名古屋店のいずれかの店舗で展示、販売中でございます。お越しいただく店舗にない場合はお取寄せも可能ですので、ご来店の際は事前にお申し付けください。 |