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フランク ミュラーの名作中の名作、"Ref:1750VEM" 18K 3N(イエローゴールド) です。彼が発表した数あるコレクションの中でも、唯一の陶製文字盤を採用したこの限定モデルは、1993年〜96年にかけて間隔をおき極少数製作され、94年当初は35本限定としていましたが、その製作の過程におけるあまりの歩留り悪さから、遂には30本足らずで生産を終了してしまったいわくつきのモデルです。
あらためて陶製(エナメル)文字盤とは、そもそも主に懐中時計の時代に採用されていた文字盤で、金属の盤の上に釉薬(着色ガラス)を塗って焼上げたもので、文字盤の表面を紫外線による経年変化を半永久的に防ぐほか、染付によって装飾的な役割も果たします。まず摂氏1200℃でガラスを溶かしたあと焼き入れを施し、粒子と染料を合わせてミルに入れ、つなぎにエナメル技師がそれを塗る、垂らす、或は吹きかけるなどして金属をコーティングします。そして摂氏800℃〜900℃の特殊な窯で焼成されます。
しかし、その製造工程では焼き物であるが故、何度も焼成を繰り返す中で温度や時間によって発色が異なったり、割れたりヒビになったりと非常にロスが多く、1枚の文字盤を完成させる為に数十枚を無駄にする事も少なくありません。更に懐中時計に比べてより小さな腕時計の文字盤を作ることは、手間やコストの問題から1920年代以降には殆ど作られなくなった文字盤です。フランク ミュラーが製作したこのクロノグラフの陶製文字盤は、純白に焼かれた陶盤の上に、クラシカルな黒字のブレゲインデックスと、円周には青色のパルスメーターが刻まれ、そしてさし色となる赤い数字が5分おきに染め付けられています。
その文字盤をつぶさに見ると、焼き物特有の美しい光沢と、わずかに不均一な表面が、この腕時計を純然たる作品へとたらしめています。
さらに表面より一段下げられた左右の30分積算計とセコンド計は、文字盤本体とはまた別に焼かれ、後から巧妙に溶接されており、気が遠くなるほど繊細で高度な仕事ぶりを垣間見ることが出来ます。
※文字盤裏側の画像を参照 写真の文字盤は本品とは別固体の同型のものです。
そして、2カウンターの手巻き式クロノグラフムーブメントには、往年の名機として名高い"Venus(ヴィーナス) Cal:175"のオリジナルが搭載されています。Cal:175はラ・ジュ―・ペレ社(旧ジャケ社)によって2002年に完全復刻製作された程の名機ですが、このキャリバーは1940年代から50年代にかけて作られ、未使用のまま眠っていたオリジナルキャリバーを、更にフランク ミュラー氏自身の手によって、各パーツの細部に至るまで手仕上げによるエッジの面取りや、コート・ド・ジュネーブ(波状仕上げ)の他、スワンネック型のバネで固定された美しい緩急針に改造するなど、最高等級のムーヴメントとしてチューンナップされています。 大型でロービート(18000振動/毎時)のチラネジ付テンプと、キャリングアームから4番車への絶妙な伝達や、コラムホイールの精巧な動きといった、オールドムーヴならではの繊細で優雅な趣を堪能する事が出来ます。
直径38mmの他に例を見ない独自のケース側面には、コインエッジが刻み込まれています。
こちらの個体の素材は18K 3N(イエローゴールド)で当時わずか4本のみ製作されたうちの1本です。イエローゴールド素材のケースに、《純白の陶製文字盤》×《ブルースティール ブレゲ針》×《コインエッジ》のクラシックの王道とも云うべきコーディネイトは、前衛的な作品の多いFRANCK MULLERの中における、いわば"古典へのオマージュ"を意図して作られた大変稀少な作品です。
本品は1993年に製作されたものですが、使用頻度がきわめて少なく、大変コンディションの素晴らしい固体となっております。
参考定価 | ¥7,150,000Tax in |
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製造年 | 1993年製 |
素材 | 18Kイエローゴールド |
ムーブメント | Venus(ヴィーナス)製 Cal:175 手巻き |
ダイアルカラー | ホワイト (陶製文字盤) |
ベルト | クロコダイルストラップ |
防水 | 日常生活防水 |
サイズ | 直径38mm×縦44.8mm(ラグを含めた長さ) ベルト幅:19mm |
付属品・備考 | PAW保証書、取扱説明書、BOX ※ご覧の商品は東京店、大阪店のいずれかの店舗で展示、販売中でございます。お越しいただく店舗にない場合はお取寄せも可能ですので、ご来店の際は事前にお申し付けください。 |