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1994年製作 ラウンド ミニッツリピーター 「RM S9」 です。一見して極めてシンプルなデザインのこの時計の内部には、驚くべき複雑な機構が組み込まれています。 まさに複雑時計の代名詞ともいえるミニッツリピーターは、ケース側面のスライドレバーを動かすことで、機械内部の小さな二つのハンマーが作動します。そしてケースとムーブメントの狭い隙間に円状納められている細い2本のリングを叩く事で、異なる音色のチャイムを鳴らして現在時刻を知らせます。 時の位、15分の位、1分刻みの音色を聞き分けることで、現在の時刻を分単位の正確さで知る事ができます。 そして、その澄み切った音色は、実に720通りもの組合せで時刻を鳴らし分けるのです。 例えば、“6時49分”を時計の針が指す時、リピーターのチャイムは 「チンッ・チンッ・チンッ・チンッ・チンッ・チンッ」 と6回打ち、次に15分を刻むクウォーターの反復音が 「キンコンッ・キンコンッ・キンコンッ」 と3回打って45分、そして1分刻みを知らせる高い音の鐘が 「キン・キン・キン・キン」 とプラス4回鳴ることで、たとえ眼を閉じていても時計を見ることなく、現在時刻を知ることが出来ます。 今より200年以上も昔より懐中時計にあったこの機能は、オペラ鑑賞の幕引き時や、夜道の馬車の中といった暗闇で、いつでも現在時刻を確認する事が出来るとても便利な機能でした。デジタル技術を駆使する現在でさえ、音で正確な現在時刻を知る事の出来る時計はめったにお目にかかれません。しかしそのシステムを機械式のみで作ろうとした場合、その小さなケースの中には600個を超える膨大な数のパーツをひとつひとつ手で研磨した後、細心の注意を払いながら組込まれ、完成までには半年以上もの時間を必要とします。これほどまでに緻密で繊細な技術を要求される時計の製作技術はありません。 しかもそれは直径6cmの懐中時計でさえそうであるのに対して、腕時計でこれを実現するためには、わずか直径3cm以下のムーブメントに、同数のパーツをさらに半分以下の大きさに縮小しなければなりません。おのずとそれにあたる研磨や組上げの手作業にも、極めて細やかな神経と高度な技術と同時に、長年の経験と勘によるところが大きいと云われています。
フランク ミュラーが製作したこの「RM S9」は、直径36のラウンドケースの中に27という小型リピータームーブメントが搭載され、さらにミュラー氏の考案よる新たな機能も付加されています。 そのひとつにダイアル6時側にある扇型のメーターは、ミニッツリピーターの“誤操作防止インジケーター”があります。 フランク ミュラーが1993年に特許を取得した独自の機能で、9時位置のレバーをスライドしてリピーターを作動させる際、リピーターの音が鳴り終わった後も、内部の複雑なシステムがしばらく作動し続ける為、文字盤上のインジケーターの針の位置を確認する事で、システム作動中の誤操作を防ぎ、故障を回避する為の安全装置として付けられています。
また、こちらの個体の特別仕様としては、シャンパン ゴールドのケースのラグに、あえてホワイトゴールドのビスで留められており、1930年代のヴィンテージウォッチなどに見られるシルバーへラインのダイアルとのコンビネーションによるアクセントとなっています。
そして、シースルーバックになった裏蓋からは、総て手彫りによる美しいイングレーヴ(彫金)が施され、この個体が特別な作品である事を裏付けているかのようです。
参考定価 | ¥0Tax in |
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製造年 | 1994年 |
素材 | 18K シャンパンゴールド |
ムーブメント | 手巻き 18,000振動 |
ダイアルカラー | シルバーヘアライン |
ベルト | ネイビー クロコダイルストらップ ※ストラップのカラーはお選びいただけます。 |
防水 | 非防水 |
サイズ | 直径36 (ラグを含めた長さ 43) |
付属品・備考 | PAW保証書、取扱説明書、BOX ※ご覧の商品は東京店、大阪店のいずれかの店舗で展示、販売中でございます。お越しいただく店舗にない場合はお取寄せも可能ですので、ご来店の際は事前にお申し付けください。 |